好奇心で生きてる

短編や書きたいことをつらつらと。

笑う毒【詩】

バカみたいに素直だった。
私は裏切られることを知らなかった。
いつも誰からにも愛されて、私は誰をも愛していた。そう思っていた。幸せだった。
「現実なんてそんなものよ」って私が愛していた一人がいった。私は裏切られた。
「現実」とはなにか。私が今まで幸せを噛み締めいた世界は、現実ではなかったのか。
悔しいと、私は思った。私は誰かを裏切りたくはない。だけれど、私は簡単に誰かに傷つけられる。どうして。
私は疑うことを知らなかった。誰をも愛していた。周りをそろりと窺う。ああ、一度傷つくと、誰もがこんなにもこわい。
私は簡単に傷つくようになった。きっと、「そんなことで」と言われるようなことで心を痛める。
だけれど、それを表情にだすことは、意思表示をすることは、とても嫌だと思った。傷ついたことを誰にも知られたくないと思った。
だって、そうしなければ、「私を傷つけた誰か」が傷つくかもしれない。何気なく言った言葉で、私が傷ついてしまっては、相手はなにも喋れなくなってしまう。
だから、私は決めた。ズタズタになってもボロボロになっても、絶対に笑っていようと。裏切られても、些細なことで傷ついても、ずっと笑っていれば、きっと誰も傷つけない。
私は、誰かを傷つけてしまうことが、一番こわい。